所有不動産を「賃貸」するということのリスク
「売る」か「貸す」かの判断
所有する不動産についてよくこのような相談を受けます。
一概に、どちらが良いかという判断はその不動産の特徴や、本人の事情によって異なりますが「賃貸」を選択した場合は、特に注意が必要です。
「借り手」の立場が圧倒的に強い日本の賃貸市場
日本には借り手にきわめて有利な「借地借家法」があり、いったん賃貸借契約を締結すれば、借り手が賃料を払い続けている限り、家主は退去を求めることができません。
加えて、よほどの理由が無い限り「賃料を値上げする」ということが困難です。
これは、言い返してみれば「借り手が実質的に不動産を所有している」ことほかなりません。
家主はそれらのリスクを回避するために、礼金や敷金、あるいは「更新料」等を設定しますが、やはりトラブルは絶えません。
これは、消費者契約法に抵触するのではないかという訴訟も多く行われており、礼金は賃料の一部として認められたものの、更新料についてはは高裁で違法との判断も出ています。
賃貸した場合の様々なリスク
上記のように、借り手にきわめて有利な「借地借家法」に加え、内在しているリスクを取り上げてみます。
①空室リスク
②事件・事故・火災リスク
③設備類の劣化・補修リスク
④建物の修繕リスク
⑤反社会勢力組織やカルト教団が周辺に移転してくる
⑥嫌悪施設等の建設リスク
⑦立ち退き交渉リスク
当然、上記以外にも含まれるリスクは内在すると思いますが、ざっと列挙しただけでもこれだけのリスクが想定されます。
(世の中に「リスク」があるからこそ保険屋が儲かるのですが)
これらのリスクが顕在化してきた場合、不動産価格の下落はもちろんのこと、家主が負う金銭的なダメージが大きいです。
不動産の賃貸をあっせん・管理する会社は、このようなリスクを丁寧にしてくれません。
当然、不動産賃貸業者は「紹介できる賃貸物件」を増やすこと、あるいは管理させてもらえる不動産をどれだけ多く収集できるのかが「儲け」になるので、いたずらに不安を煽るようなことはしませんし、このような認識を持たないまま、賃貸借契約を結んでしまうケースは少なくはありません。
一旦冷静になり様々なリスクを想定し判断をするべき
人は時として不合理な選択をします(ヒューリスティック)。
問題や課題が複雑になればなるほど「簡単な答え」を求めようとしてしまいます。
(例えば、1+1=?という答えは「直観」で答えることができるのに対し、32×54=?という答えは「思考」しなければ答えられません。ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマン(行動経済学者)は、これを「ファスト思考」と「スロー思考」と呼んでいます。)
不動産を「売却」するか「賃貸」するか、はファスト思考では絶対に判断できません。
様々なリスクや今後の状況を考えたうえで、どの選択をしていくことが良いのか、としなければなりませんが、人間の持つ特性(ヒューリスティック)により、不合理な判断をしてしまいがちです。
一旦冷静になり、どちらの選択をしていくことが「経済的な合理性があるのか」ということを判断していくことが重要です。
「賃貸」してしまった場合、借り手が自主的に退去しない限りもう後戻りすることはできませんので。
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